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こんにちは🙋♀️
ハートステイコリア
入居担当マネージャーのタクミです。
外国で生活していると、家や学校のような日常だけでなく、
この街が持つ文化や芸術にどう触れるかも、
とても大切な経験の一つだと感じます。
最近訪れた展示の中で、
空間そのものがまるで別の世界のように感じられ、
特に印象に残った展示がありました。
本日はその展示を、皆さまにご紹介したいと思います。
アートソンジェセンターで開催されている
アドリアン・ビジャール・ロハス〈敵軍の言語〉です。
展示情報
会期:2025年9月3日(水)~2026年2月1日(日)
会場:アートソンジェセンター
開館時間:火~日曜日 12:00~19:00
※30分単位での入場(毎週月曜日休館)
観覧料:
・25~64歳:10,000ウォン
・19~24歳、65歳以上:7,000ウォン
・9~18歳:5,000ウォン
・アーティストパス:7,000ウォン
ご案内
・入場は30分単位となります。
・入場人数は各回30名までです。
・観覧時間の制限はありません。
・混雑時は再入場を制限する場合があります。
ご注意
・会場内はやや暗くなっておりますので、ご観覧の際はご注意ください。
・フラッシュ撮影は禁止です。
・すべての作品・インスタレーションにはお触れになれません。
(彫刻、土、植物、テント等を含む)
・作家の意図により、展示空間ごとに室温が異なります。
温度や匂いも展示の一部としてお楽しみください。
・3階は観覧人数が10名を超えた場合、入場をお待ちいただくことがあります。
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アドリアン・ビジャール・ロハス〈敵軍の言語〉
アートソンジェセンターで出会う、文明のその先の風景
アートソンジェセンターは、開館初期の展示〈芽(싹)〉から30周年を迎え、
アルゼンチンとペルーにルーツを持つ作家、
アドリアン・ビジャール・ロハスの韓国初個展〈敵軍の言語〉を開催しています。
本展は、美術館を単なる展示空間としてではなく、
ひとつの彫刻的エコシステムへと変貌させる大規模なサイトスペシフィック・プロジェクトです。
文明が残した「言語」を問いかける
〈敵軍の言語〉は、人類の文明が残してきた
権力・暴力・支配の言語を、未来の廃墟のように提示し、
私たちが当たり前のように使ってきた言語や技術、制度が、
誰かにとっては**「敵の言語」**になり得ることを問いかけます。
展示空間に設置された巨大な彫刻や構造物は、
破壊された都市や武器、文明の残骸を想起させ、
人間中心的な思考や「進歩」への信仰に対して、
静かな批評の視線を投げかけます。
作家は、過去・現在・未来が入り混じる時間感覚を通して、
文明が残す痕跡と、その責任を観客に問いかけます。
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美術館全体を変容させる展示
本展は、アートソンジェセンターの地下1階から地上3階まで全館にわたって展開されます。
既存の出入口は土で塞がれ、
ホワイトキューブを象徴していた白い仮設壁は撤去され、
建物のコンクリート構造体が露わになります。
さらに、展示空間内の温度・湿度調整装置を意図的に停止し、
土、火、植物といった加工されていない自然要素を内部に取り込むことで、
美術館の内と外、制度的空間と地球の生態系との境界を曖昧にしています。
こうして美術館は、もはや「保存の場」ではなく、
分解・変異・継承が絶えず起こる不安定な地形として機能します。
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〈想像の終わり〉とタイムエンジン
展示は、作家が2022年から続けている連作
〈想像の終わり〉を中心に構成されています。
遠い未来の遺跡から発掘されたかのような、
異形で混成的な彫刻群は、冷ややかで見知らぬ空気を漂わせています。
このシリーズは、シドニー、ヘルシンキ、バーゼルを経て発展してきた作品で、
作家自身が開発したデジタル・シミュレーションシステム
**「タイムエンジン」**から生み出されています。
タイムエンジンは、ゲームエンジンと人工知能、仮想世界を組み合わせたツールで、
変化する生命体、建築、生態系、社会的条件が混ざり合う世界を
デジタル空間上に構築します。
そこで生成された仮想の彫刻は、現実世界へ「ダウンロード」され、
物理的な形として具現化されます。
金属、コンクリート、土、ガラス、樹脂、自動車部品など、
有機的・無機的素材が幾層にも重なった彫刻には、
人間と機械、両方の労働の痕跡が刻まれています。
人間を超えた創作の主体
ビジャール・ロハスはこのプロセスを通して、
創作の主体を人間から「世界そのもの」へと移行させます。
世界が自律的に物質を生み出し、
人間はそれを現実へ運ぶ媒介者となるという視点です。
これは、創作行為に対する従来の人間中心的な考え方を、
根本から揺さぶる試みと言えるでしょう。
展示タイトルである **〈敵軍の言語〉**は、
象徴や意味形成の起源を指し示しています。
人類は単独で進化した存在ではなく、
他の人類種との衝突や協働の中で、
象徴的思考を発展させてきました。
今日、私たちが直面している人工知能という新たな「他者」も、
その延長線上にある存在です。
理解しがたい言語を持つ存在との共存は、
可能性であると同時に、不安でもあります。
本展は、その緊張関係の中で、
人間と非人間、技術と生命が共に築く未来を考える場を提示します。
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生きているエコシステムとしての展示
本プロジェクトは、作家がこれまで韓国で進めてきた
長期的な取り組みの延長線上にあります。
展示制作のため、アルゼンチンから来たスタジオメンバー11名が
6週間にわたりソウルに滞在し、現場で制作を行いました。
その結果、この展示は完成された「結果物」というよりも、
今なお変化し、機能し続ける生きたエコシステムのように感じられます。
観客はこの空間を歩きながら、
崩壊と進化、再生が繰り返される世界を、身体的に体験することになります。
結論
〈敵軍の言語〉は単に作品を鑑賞する展示というよりも、
見知らぬ世界を実際に歩き、体験する感覚に近い展示だと感じました。
美術館という馴染みのある空間が解体され、
その中で人間と非人間、技術と自然の関係について
あらためて考えさせられます。
静かでありながら強い問いを投げかけるこの展示は、
情報やイメージを速いスピードで消費する日常の中で、
立ち止まり、思考するための時間を与えてくれます。
展示を通して、私たちが「当たり前のように使ってきた言語やシステム」が、
誰かにとってはどれほど異質で、時に脅威となり得るのかを
見つめ直すきっかけにもなりました。
芸術とともに思索する時間を大切にしたい方、
そして韓国での生活をより深く味わってみたい方に、
ぜひ一度足を運んでいただきたい展示です。
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